特別授業
2008年 10月 05日
この日は、ゲストスピーカーとして性転換手術を経て男性から女性になったクローイさんが性同一性障害、Transgender(性転換手術をした人)の人たちへの偏見、そして最近あったゲイ・バッシング事件(ゲイであるというだけが理由で攻撃されたり嫌がらせをされたりすること)について話してくれました。
Transgenderという英単語はアンブレラワードと言って多くの言葉を含む単語であり、一般的にゲイと総称されることが多いけれど女性を白、男性を黒としたらその2つ以外にいくつもの灰色があり、同じ灰色でもそれぞれの違いを教えてもらいました。
クローイさんは女性の心を持ちながら男性として生きてきたのですが40歳になる時に
カミングアウトする決意をし、お姉さんに相談。ファミリーのサポートを得られない人も多い中、幸運にもお姉さんの大きな理解を得られ、今の自分があるとのことでした。
決断の理由は?という学生の質問に「夜ベッドに入って寝る時に、明日目が覚めたら自分が死んでたらいいのに。と毎晩思うことに疲れた。でも何故自殺しなかったかっていうと私の心の中にいる女性が生きてほしがっていたからだと思う。」とのこと。
女性の心を持ちながら、男性としての生活はクローイさんにとって「生きている」ことにはならなかったのです。女性になって、スカートをはいて町を歩いた時に同じ女性が「Hi」といってにっこりしてくれたときに自分もやっと彼女達の仲間に入れたんだとすごく幸せを感じたそうです。
わざわざ虹色のセーターを着てきた意味。虹色はプライドカラーといって、ゲイであることに誇りを持つ人、またその人たちをサポートする人を表す色でありシンボルだからです。
学生が「そのシンボルが町にたくさんあったらいいですか?」と聞くと
「例えばお店の入り口にこのシンボルが貼ってあったらここは安心して入っていいんだな、って思う。
ゲイだからって差別しない店だなって。でも残念なのは逆にこのシンボルを目指して嫌がらせをしてくる人がいるということ。」と説明し、最近バンクーバーであったゲイ・バッシング事件について、そしてクローイさんの身近で起きた悲しい出来事について話してくれました。
クローイさんはICAという移民サポート機関でも5年間ボランティアをしていた時期がありゲイだけでなく人種差別、宗教差別など、偏見による差別を受けている人たちの
力になってきました。現在も大学や学校へ赴いて自らの経験を語るのは「差別というのは無知からおこるもの。私達のことを少しでも知ってくれたら、外見だけでなく一人の人間として見てくれたら、きっと差別は減ると思う。だから時間はかかるだろうけど若い世代の人たちにもっとジェンダー・アイデンティティについて知る機会を作ってほしいと思う。」という強い気持ちから。
とてもソフトに留学生にもわかりやすく話をしてくれたクローイさん。彼女の心の痛みが伝わってきて、男子学生も思わずホロリとしてしまったそうです。
ちなみにクローイさんの友人であるFour Cornersの校長によると、彼女はビクトリアで一番腕がいい電気技師なのだそうです!
少し長いエントリーになりましたが、こういった日本では授業で取り上げるには難しいトピックを学べる事はとても有意義だなと思いました。
by normantours | 2008-10-05 03:59